次戦

8.15(土)18:55

J1第2節 ホーム開幕戦 / vs V・ファーレン長崎

JFE晴れの国スタジアム  DAZN・テレビせとうち

クラブ経営

岡山県企業とクラブの関係 スポンサー構成と地域経済への影響

クラブ情報晴れの国の雉 編集部

ファジアーノ岡山には親会社がありません。1社が大半を負担する構造ではなく、県内の企業が広く薄く支える形でクラブが成り立っています。この作りは、J1昇格後にどう変化したのか。公表されている決算数字から追っていきます。

J1昇格で売上が倍になった

J2最後のシーズンとなった2024年、クラブの営業収益は20億3600万円でした。内訳は広告料が約9億1000万円、入場料が2億9000万円、グッズが2億3000万円。地方クラブとしては健全ですが、J1で戦うには小さい規模です。

それがJ1初挑戦の2025年には37億6000万円へ跳ね上がりました。広告料16億5000万円、入場料6億2000万円、グッズ5億5000万円。1年で規模がほぼ倍になっています。

0 10 20 30 40 億円 2024年(J2) 20.36 2025年(J1) 37.60 広告料 入場料 グッズ その他
クラブが公表した営業収益の内訳(単位・億円)。「その他」はJリーグ配分金などを含む差分。

数字の伸び方に構造がある

広告料が9.1億から16.5億へ、7億円以上増えています。並んだ企業の顔ぶれはスポンサー一覧で確かめられます。これはJ1という看板に既存スポンサーが増額で応じ、新規の企業も加わった結果です。県内企業にとって、ホームで1万5000人が集まり全国にDAZNで配信される場に社名を出せる価値が、J2時代とは別物になりました。

注目したいのは、入場料とグッズの伸び方です。入場料は2.9億から6.2億へ2.1倍、グッズは2.3億から5.5億へ2.4倍。広告料の1.8倍を上回っています。企業に頼る割合が下がり、来場者が直接落とすお金の比率が上がった。地方クラブが陥りがちな「スポンサー依存で経営が不安定」という形から、少しずつ抜け出しつつあります。来場者が増えた経緯は入場者数の記事に書きました。

支える顔ぶれは岡山の産業そのもの

ユニフォームスポンサーやトップパートナーに並ぶ企業名を見ると、岡山県の産業構成がそのまま映ります。地銀の中国銀行、地域金融のおかやま信用金庫。情報システムの両備システムズ。人材サービスのグロップとセリオ。農業機械のオカネツ工業。地元紙の山陽新聞社。商社の備商。宝飾のトミヤ。ユニフォームサプライヤーは倉敷に縁のあるペナルティです。

金融、人材、情報、製造、メディア、小売。特定業種に偏らず、県内経済の主要セクターが一通り顔を出しています。これが「親会社を持たない」ことの実質的な意味で、1社の業績悪化がクラブの存続を直撃しない構造になっています。創設期から地道にスポンサーを積み重ねてきた成果が、いまリスク分散として機能しています。

秋春制で決算期が変わった

2026-27シーズンからの秋春制移行にあわせて、クラブは決算期も変更しました。従来は2月から翌年1月までの1年でしたが、移行期にあたる第20期は2025年2月から6月までの5か月決算になっています。

この5か月だけで営業収入19億900万円。前期1年間の20億3600万円に迫る数字です。広告料8億8100万円、入場料3億5000万円、グッズ2億8500万円で、入場料とグッズは5か月で前期1年分を上回りました。

期間営業収入広告料入場料グッズ
2024年度(1年・J2)20.36億9.1億2.9億2.3億
2025年(暦年・J1初年度)37.6億16.5億6.2億5.5億
第20期(2025年2〜6月の5か月)19.09億8.81億3.50億2.85億

集計期間の定義が異なるため、単純な横比較はできません。クラブ発表と報道に基づきます。

40億の壁と、その先にある建物

クラブは、秋春制が本格稼働する第22期(2026年7月〜2027年6月)に営業収入40億円の達成を掲げ、50億円の早期到達を目標にしています。ただしJ1クラブの平均営業収入は2023年度の52億円から2024年度は58億円へ伸びており、その差は開き続けています。予算規模と成績には相関があるため、追いつく速度が競争力に直結します。

ここで壁になるのが施設です。JFE晴れの国スタジアムの収容は約1万5500人で、2025年の平均入場者は1万4587人。座席がほぼ埋まっている以上、入場料とスタジアム内消費をこれ以上伸ばす余地がありません。クラブが「入場者数の伸長が見込めない現在の施設環境下」と自ら書いているのは、この意味です。

新スタジアム整備を求める署名は、2025年9月時点で約35万7000人分が集まりました。岡山県の人口の2割近くに相当します。クラブの経営課題と地域の願いが、いま同じ一点を指しています。県内企業がこの二十数年で作ってきた支援の輪が、次に何を建てるのか。地域経済とクラブの関係は、その答えを待つ段階に入りました。